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小園
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ふたりの食卓
家族全員一緒であった食卓から、父母は台所、六つ子が居間の食卓に分かれたのは彼らが中学に上がって間もなくのことであった。とある晩の食事時に松造が言ったのだ。「なんだ。このテーブルも狭くなったもんだな」と。 当時六つ子は成長期の真っ只中。各々が思い思いに背丈を伸ばし始めていて、確かに随分と幅を取るようになった。丸いちゃぶ台はただでさえこじんまりとしていて、このままでは溢れるのも時間の問題。松代が思えば、食卓が分かれたのはすぐだった。 すっかり作業台と化していたキッチンテーブルを片付ける。椅子の上に置かれていた器具も避け置き、松代と松造はそこで食事をとることにした。 「え、部屋も分けるの?」 未だに甘えたなトド松が言う。松代はそれに眉を下げたのだけれど、そうした一日後にはゆっくりと食事ができることの有り難さを実感していた。 次々となだれ込むおかわりの嵐。あっちを構えば次にはこちら。そうした事態に汁が冷めることもなければ行儀を口うるさく説く必要もない。離れてみるとそこら辺は六つ子同士でカバーし合うのだ。おそ松のおかわりは嫌々ながらにチョロ松が。カラ松が膝を立てればトド松がさり気なくそれを抓り、十四松が立ち上がると一松がその裾を引く。松代はその様子に感心していた。そうして親が同席していない分、心なしか話題も伸び伸びとしているようにさえ思えてきて、それはそれでやはり少しだけ寂しい気がしないでもない。とも思っていたのだが。 その次の日、松造に差し出されたのは一輪の花だった。曰く「花屋の前で配っていた」と言い張るのだが、まだピンピンとしているその花は季節に合わず、温室育ちのそれを配るような店もないだろう。 キッチンテーブルを片付けたときに発掘された花瓶にそれを飾ると、松代は懐かしさに微笑んだ。花瓶に花。まるで新婚当初を思い出す。 夕食時、六つ子の喧騒を分け隔て。松造は常にはしないおかわりを平らげて、松代は少しだけビールを飲んだ。
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松造さんと松代さん
小園
2017/04/30 21:45
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子供嫌いなトド松と一松の話
小園
2017/04/22 22:52
全1話
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