TEGAKI
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一寿 葵
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腐る鱗と池の水
廃墟と化した家の庭の池に半魚人が出る、と一部のネット怪談で囁かれていた。少し前のマンホールの残党かと思い、調べに行った。百足屋も着いてきた。 「お前結構出向くんだな」 「そう?」 斯くして、置き去りにされた家に着いた。立派な日本家屋だったそれは、人の手が加わらないだけでここまで退廃するものなのか、と思い知らされる。誰かに覚えて貰えないだけで、此処まで。 ざりっ、 「庭だよね」 梓は錆び付き僅かに開いた門扉を押して、飛び石の隙間からぼうぼうに生えた雑草を掻き歩く。 「ああ」 百足屋は梓が均した後に続いた。予想以上に広い庭に苦戦する。 びちゃっ、 そうして見えた先には苔と澱んだ水で腐った池のようなモノがあるのを見つけた。落ち葉が何重にも沈んで腐った雨の臭いが籠っていた。数年前は立派に蓮の花を咲かせていただろう痕跡と魚が住んでいただろう死体がドロドロの粥になっていた。 びちゃっ、 口元を手で覆いながら、池周辺を調べた。あまり池を見ないようにしていた百足屋が地面と池の淵の石が濡れている事に気付いた。何かが這い出した後。 「(そんなに時間が経っていない?此処にいるのか?それとも)」 百足屋はふいに視線を上げた。崩れた瓦が見える屋根の上辺り、天辺を見 「百足屋!」 梓が呆然としている百足屋の背中を押すように自身ごと家の縁側に倒れ込んだ。同時に、 びぢゃびぢゃびぢゃびぢゃ!!!! 梓の背後、いや百足屋がいた場所に屋根から、濡れて腐った死体が落ちて砕けていた。頭の無い肉が骨からずるりと剥がれた死体が地面に広がっていく。それよりも、庭。 池。 びぢゃ、びぢゃっ、 と、手と手が苔繁った石を掴む。 ざばぁ、 腐った落ち葉と魚の死体を体に貼り付かせたままの、頭が出てきた。だけど、 ぼど、 それだけの頭が落ちた。腐葉が地面にぶつかる。頭の無い死体が池から這い出した。 びちゃっ、 それはゆっくり立ち上がる。 ぼごっぽこぽこぽこ、 まるで詰まった排水口のような音を立て、それの頭の有った位置から、ずるりと丸いパンの生地のような頭が生まれたと思ったら直ぐに沸騰したように泡立ち、そのひとつひとつの泡から薄い膜を突き破り魚が顔を出した。大、小、無数の。 半魚人、とは何とも形容し難い名前を付けたものだ。マンホールにいた半魚人の方が数百倍マシだ。 びぢゃっ、 池のアレに気を取られていた所為か、落ちてきた方からも魚がずるりと突き破り、こちらを無数の目で見つめていた。 目が合った気がする。鳥肌が立った。 「ひっ」 「いけ」 引き攣ったような声を漏らした梓のすぐ隣で百足屋が声を出すと、その体から蟲が這い出しアレらに襲い掛かった。 一瞬、辛そうに百足屋が目配せしていた。私はそんなに気分が悪そうに見えてしまったのか?それとも、アレと似た存在が近くにいるとか、そういうの? 「百足屋の方が数千倍マシだよ」 綾瑪(あやめ)、と自分と百足屋に盾を展開し、自分は効果が有るかはさて置き、対怪異刀を抜いた。蟲に覆われた顔面では生物同士の狂騒が繰り広げられていた。それを無視して腹部に斬り込んだ。以外に簡単にずぶずぶと埋まったが、倒れそうに無い。刃を掴まれたので、煉華、と呟き強化された足で刃を足場に蹴り飛ばした。その勢いでアレの腹部に埋まった刀は外に突き抜けた。つまり両断。アレが上と下で分かれながら地面に転がった。もう一方に、朱麗、と呟き右に短刀逆手左に日本刀を握り斬りかかった。百足屋の蟲で前後不覚になったアレの首目掛けて、さっきと同じように短刀を喉に差し込み、その柄を押し込むようにそのまま叩っ斬った。 頭を無くしたアレが数歩よろめいただけだった。追撃しようと体をそちらに向けた 時だった。 びぢゃっ、 左足に圧迫感と、後ろに 引か、れ 池に 怖気がした、悪寒がした、嫌悪した走馬灯のように、池の醜悪さと、アレらの姿が脳裏に浮かび、自分の体がスローモーションに後ろに倒れ、 それだけは 「嫌だ!!!」 うん、 僕も嫌だ。 何が起こったのか。 池に引きずり込まれかけた梓を支えるように、池から針山かと思う程無数の槍が生えた。ぎっちり隙間なく。梓は何とも無い顔をして、槍から下り、 「ははっ」 乾いた嗤いをアレらに向けた。三日月のように嗤う瞳には昏々とした煮え滾る怒りが満ちて。 「死ね」 嵐のようだった。 嵐のように、 凄惨だ。 結局アレらは地面に転がる砂利よりも細く砕かれ壊され殺された。百足屋は、ついでに蟲も殺された些細な事象を隅に置いて、『彼』に近付いた。 「やり過ぎだ」 「見たら分かるよ」 「アイツいつ帰ってくる」 「槍を出し過ぎたからね、二日後くらい?」 百足屋は溜め息を吐いた。 「ブチギレ乙」 「梓、ホラーは平気なんだけど、グロテスクは嫌いだからねー」 「・・・俺は良いのかよ」 「?君はグロテスクじゃないよ」
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Heart
あとがき
twitterで打ち込んでいたものです。
トンすけさん宅百足屋黒百合さんを、お借りしました。
時系列は結構先ですね、黒百合さんが樹のことを知っているので。
Hearts
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一寿 葵
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あくる日の死霊課員
一寿 葵
2017/05/23 23:18
全2話
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