TEGAKI
手書きブログへようこそ!
手書きブログは記事やコメントなどを手書きの文字や絵で行う、イラスト主体のブログサービスです。
みんなで楽しくお絵かき交流しましょう!
Twitterで新規登録/ログイン
ブログを書く
ギャラリーに投稿
小説を書く
マンガを投稿
手書きブログへようこそ!
手書きブログは記事やコメントなどを手書きの文字や絵で行う、イラスト主体のブログサービスです。
みんなで楽しくお絵かき交流しましょう!
Twitterで新規登録/ログイン
有蔵
お友達申請
お気に入り
ミュート
ウォール
(1)
ブログ
(380)
斎藤露子の場合
ぽぉん ぽぉん 誰かが鞠をついている。夕暮れの中、逆光で顔は見えないが、四、五歳くらいの童女だろう。赤い着物に黄色の帯で、何度も何度も、鞠をついている。 (物寂しい光景だ…) ぼんやりとその姿を眺めながら、露子はゆっくりと瞬きをした。夕暮れに一人で遊ぶ童女。別に何かおかしいことのある光景じゃない。それでもどこか、郷愁を呼び起こすような寂しさがそこにはあった。あるいは自分が幼い頃のことを思い出したのかもしれない。思えば昔、似たような着物を持っていた。夕暮れの時間、兄も姉もいない時は、一人で寂しく遊んでいたものだ。そう、髪の長さも、あの童女と同じくらいだったろうか。腰まで伸びたまっすぐな髪。何もかもが似通っている。違うと言えば――鞠が―― (…鞠、) ぽぉん ぽぉん 跳ねる鞠を目を凝らして見る。丸い鞠は逆光でよくは見えない。見えないがしかし。 ――あれは鞠だろうか? 跳ねるそれを見て、逡巡する。黒い影、鞠の、丸い影。そうであるはずだ。それ以外に何がある?しかし――しかし――そうだ――鞠であるはずならば、どこかおかしい。 ぽぉん ぽぉん 跳ねる、鞠のようなもの。跳ねるたびに、紐のようなものがちらちらと揺れている。紐のついた鞠だろうか?そんなもの、あるのだろうか?そもそもあれは、紐だろうか?ばらばらと跳ねるたびにゆれるあれは、どちらかと言えば―― (髪の毛、のような、) ぽぉん べちゃ ぽぉん べちゃ 気付いてから、音が変わった気がした。地面に広がる鞠の影は、形を変えない。違う。影ではない。あの黒い染みは、影では、ありえない。あれは血だ。血の池が、出来ているんだ。ならば、ならばやはり童女のついているものは―― ぽぉん、 音が、止んだ。 動けない露子に、童女がゆっくりと振り向く。逆光で見えなかった顔が、少しずつ露わになる。青白い顔、不自然なほどに赤い唇、切れ長の目つき。あれは、あの顔は、 「いずれこうなる」 「誰か」の首を掲げた「私」が笑った。 「ってところで目が覚めました」 「何それ誰の首だったの…」 「さあ…?」
読者になる
Heart
あとがき
Hearts
応援メッセージ
コメントするにはログインする必要があります
有蔵
沼の妖怪
お友達申請
お気に入り
悪夢
有蔵
2017/06/19 20:21
全1話
を送るにはログインする必要があります