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とある放課後
俺は藻葡牧 悟志(もぶまき さとし)。 あだ名はモブ先生。 彼女居ない歴イコール年齢……とはよく言うが、俺にだってモテ期はあった。 これでも高校の時はモテたんだぞ?みたいな事をノリで言ってみたら、シーン……となった。 いやいやいや。 待て待て待て。 なんだその目は。 本山、真顔で俺を凝視するな。 都一、哀れんだ目で俺を見るな。 心臓がキュッとなるし胃がキリキリする。 趣味とかないのぉ〜?なんて本山が言い出して、都一はすかさずその話にノッてきた。 共通の趣味とかあればモテるんじゃないですか? みたいな事を都一が言ってきた。 「まあ、そうだな。趣味と言えばパチンコや競馬だが、最近とある生徒のせいで残業だったりするからあんま行ってねぇなぁ」 「へぇ。顧問ちゃん大変だねぇ」 「そーだなぁ」 あはははは〜。 俺はいつものノリで本山の話を受け流す。 その、いつものノリと言うものをあまり知らない都一からは険悪そうに見えたのだろう。 察した都一が話題を変えようと慌て始めていたが、本山の「お店、閉まっちゃう!」と言う一言で俺らは一斉に時計を見た。 「あっ」 「あー。もうこんな時間か」 「あっ、すみません」 「あーいいって。どうせ暇だし。て言うか、お前ら。今から帰るの?」 「あ、はい」 「そうだよぉ〜」 「この時間だと帰り困らねぇ?」 「うわぁっ!顧問ちゃん!」 まあ、俺は一向に構わないがな! とは言え引き止めるわけにも行かず、どうすっかなぁと考えていた俺は窓際にいた本山の声に呼び止められた。 視線を窓際に逸してみたら案の定、土砂降りの雨が滝のように流れていた。 うわぁ……マジか。 どうすんだコレ。 俺、今日ケッタなのに。 こりゃ傘あっても駄目になるレベルじゃねーか。 仕方ない。 そう思い立った俺は手元にあった受話器を握り、二人の家に連絡を入れる準備を始める。 本山の家には数え切れないほど家電にかけてきたが、都一の家にかけるのは初めてだ。 この学校に来る前は小学校で担任として就いていた俺の経歴が役に立つとは思わなかったが、まさかここに来て応用が効くとは。 おかげで扱いには慣れたが、別の意味で苦労するとは思ってもいなかった。 ぶっちゃけ教員より顧問のほうが向いてんじゃね?って気づいて今に至るわけだが、就任してウン十年は居るはずなのに未だに生徒達には認識されていない。 俺、顧問なのに。 なんて若い頃は落ち込んだりもしたが、今となってはどうでも良くなった。 それよか、この雨どうするよ。 止むのか? 暫くして雨が止んだ。 やっぱり通り雨だったのか。 さてと、俺も帰るかぁ。 二人を見送った俺は駐輪場へ向かった。 トタン屋根がある駐輪場に止めておいたはずのケッタはなぜか、屋根の届かない外野に放置されていた。 案の定、ケッタのサドルがびしょ濡れだった。 畜生。 雨が上がった帰り際に虹を見た。 虹、綺麗だな。 虹を久々に見た俺は、愛用のスマホで写真に収める。 いいものを見たな。 雨上がりの虹は好きなのだが、未だに雨上がりの気候は好きになれない。 と言うのも、雨上がりは湿気がすごい。 故にジメェ〜とした嫌な空気が流れ、肌に張り付くような感じの、ベタベタッとなる湿気が鬱陶しいからだ。 それらが無ければ文句なしだったんだが、そうもいかず帰宅後ソッコーで風呂に飛び込みシャワーで汗を洗い流す。 男の一人暮らし。 パンツ一丁でも何も言われないって言うのは、案外楽なのかもしれない。 さてと。 胡座をかいて床に腰掛けた俺は愛用のパソコンを立ち上げる。 有名な動画サイトのページを立ち上げ、適当にクリックする。 『こんにちわぁ!』 「ブッ!…………はぁ?」 いやいや、待て待て待て。 俺は何を見せられてるんだ。 気を抜いていたせいで、状況がうまく飲み込めなかった俺は思い切りビールを噴き出した。 『こんばんわかな? カズちゃんねるパーソナリティのカズにゃんです! 今日は久々に張り切っちゃおうと思います! あのね! カズにゃん今、めっちゃ泣きそうなの! 誰か慰めて』 たまたま暇だったんで生放送を見流していたんだが……これは夢か。 たまたま開いたネットの動画に実の教え子がネット配信をしていた。 どういう事だ。 どういう事なんだ。 いや、その前にカズにゃんてお前……。 色々大丈夫か? 『僕ね、実はお姉ちゃんが居るんだけど……。 ああ、そうそう。 前の放送でやらかしたバカ女のことね。 んで、ソイツが……じゃない。 お姉ちゃんがね、この前ね。 「あーあ。毎日がハロウィンでホワイトデーでバレンタインにならないのかなぁ〜?そしたら学校も楽しいのにぃ〜」 みたいなことをお姉ちゃんの前で呟いた事があるんだけど、その時のお姉ちゃんの返答がなんか変だったから書き込もうと思うよ。 疑問を投げ掛けたら、疑問で返ってきた。 やまびこさんかな? うん。 馬鹿なの? ていうか人の話、聞いてましたか? そもそもここ男子校。 ノー女子。 オール男子』 そりゃ男子校だからな。 当たり前だ。 オール男子の部分に頷いていると新しいコメントが流れてくる。 理解が追いついていないが、コイツ……声変わりしてたんだな。 そんな事を思いながら、教え子の生放送を眺める。 暇だったから。 『え。 待って。 おかしっ‥え。 コレもしかして姉弟の正しい会話なの? いや、そもそも正しい会話って何さ。 って言う僕の葛藤も虚しく、お姉ちゃんの力説が僕の前を素通りしていくの。 全然話が噛み合わなってある意味、すごいよね。 無駄なミラクル! くたばりやがれ』 《そんなこと言っちゃ駄目ですよ。お姉ちゃん好きなんでしょ?》 『え? うん。 僕、お姉ちゃん大好き! 世界で一番お姉ちゃんが大好きで、世界一大嫌いです。 なんでかって? そりゃぁ、うちのお姉ちゃんはアニメ大好きなオタクだからさ。 本人曰く『ノーヲタ。イエス腐女子』らしいんだけどさぁ、全然違いわかんねーっての』 それにしてもキャラぶれてるなぁ。 てか本山。 お前、学校だと「お姉ちゃん大好きぃ〜」って公言してるくせにネット上だと性格変わるんだな。 いや、こっちのが素なのか? 『うん。 え? いや、知らねぇから。 そこまで必死になる必要性って何? 分からないから教えて。 実はこの話。 前の放送でも話したはずなんだけど、その時からかな。 遂に二次元と三次元の違いが分からなくなってきたのかは分からないけど、お姉ちゃん曰く「男子校こそホモの聖地!仲の良い兄弟こそ近親相姦!」って言う認識らしい。 うわぁ〜。 引くわぁ。 うわわっ! もうこんな時間なんだぁ。 え〜? 違うよぉ〜。 カズにゃんそんな怖いこと思ってもなし、言ってもないよぉ? うわぁ〜んっ。 怖くて泣きそうだよぉ〜。 きっとアレだね。 腐女子っていうのは脳内まで腐ってて、まるでゾンビの様に呻き出す生き物なんだろうね。 気持ち悪っ。 え? ううん。 何も言ってないよー? 気のせいだよぉ〜。 じゃあね! また明日! バイバイ!』 たまたま。 本当にたまたま暇だったから見流してるだけであって、これは別に弱みとか握れたら……とか思ってないんだからね! なんていい年した成人男性が何やってんだろうな。 ……虚しい。 めっちゃ虚しい。 畜生。
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Heart
あとがき
何故か土砂降り。
何故か放課後。
唐突に始まっているのは、私が書きたかっただけという、いつもの勢いだけって奴です。
因みにケッタは自転車の事。
軽快にトートさま宅の都一君をお借りして、顧問ちゃんに絡ませてみた。
すみません^^;
※前回とタイトルとか丸被りだったので、こちらに移転しました。
Hearts
応援メッセージ
うあああああああああ‼‼(´;∀;`)
トートさまぁああああああ!!!(叫
ハートありがとうございます!
そして都一君を好き勝手お借りしちゃってすみません^^;
でも楽しかった←
(2017/08/28 22:34
by kazu@
)
ブックマーク……だと!?(´゚д゚`)
あああああああああああぁぁぁぁッッッッッりがとぅッございます‼(。>﹏<。)
(2017/08/28 22:38
by kazu@
)
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次へ : 結局、生きてる人間が一番怖い。
本気のわけ : 前へ
kazu@
人外と幼女をこよなく愛する奇跡の阿呆で、いつかやる詐欺(※)の常習犯。
絵柄が絶賛迷子中。
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【BLog】人はそれを阿呆と呼ぶ。EX
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https://mblg.tv/hitosoresha/entry/725/
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※いつかやる詐欺
「やりかもしれない」「○○やる予定」と言いながら実践することなく、そのままお蔵入りしちゃう。
または、未完成のまま放置しちゃうというような手口のこと。
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なんでもない日
kazu@
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