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せいとこうりゃくせんの後の師禅
魏軍が成都を攻略した戦で敗北し捕らえられた劉禅は、今この瞬間、彼を討ち取った張本人である司馬師の前に引き立てられていた。 二人きりの部屋の中、お互いの体からほんの少しだけ離れた距離で。 パーソナルスペースにずかずか踏み込まれた劉禅は大変居心地が悪く、一歩下がりたいのはやまやまだったが、背後には冷たく堅い壁がぴったりと貼り付いていた。 「…」 お互い口を開かずに見つめ合い、こうして既に十分程経過している。 初めは何か理由が有るのかと司馬師が話し出すのを待っていた劉禅だったが、この重く降り積もった沈黙と司馬師の射抜くような視線に耐え切れなくなり、音を上げた。 「あの、すみません。 大変申し上げ難いのですが、お顔がとても近いです」 すると直ぐに返事は来た。 「戦場ではよく見えなかったものでな」 蜀帝である男がどういう人物か見定めていた、判じていたと言う事だろうか。 今更誰にどう評価された所で自身は何も変わらず、それは司馬師でも同じだと考えている劉禅はもう一度話を切り出した。 「それにしたって近過ぎます。 もう少し離れてお話しませんか?」 そちらの方が会話も捗りますよ、と柔らかく微笑む。 逆らう気持ちなど微塵も無いと伝えるように。 「実は以前、目の真横に矢が刺さり、その後遺症で距離感が分からなくなった」 司馬師は眉を動かす事もなく嘘を吐いた。 後遺症など有りはしない。 それに気付いたか定かではないが劉禅は労るように相槌を打つ。 「それはお気の毒に。 ですが程度が有るでしょう? 今の私達では吐息が掛かってしまいそうなくらいです。 どうか離れて下さい」 回りくどい言い方を止め、とうとう劉禅は直接頼みだした。 敵意も反抗心も無いが、兎に角今は離れて欲しい。 「私の事が嫌いか」 「…はい?」 掛けられた一言を理解するまでに劉禅は数秒間硬直したが、大して気にせず司馬師はもう一度同じ声色で訪ねる。 「嫌いなのか」 「そういう問題ではありません。 …こんなに端正な方(無双一の美形をコンセプトにデザインされた男※公式)に見詰められては困ってしまいます」 「ほう」 司馬師がすっと目を細めた。 「ですので、どうか」 劉禅は無礼かとは思ったが、距離を取ろうと両手でそっと司馬師の体を押した。 そしてその手は司馬師に力強く掴まれる。 やはり気に背いてしまったのか。 「困ってしまうとはどういう意味だ」 「え?そこを聞かれますか?」 「聞かせてくれ。 お前の声は聞いていて落ち着くんだ」 これではまるで口説かれているようだと他人事のように劉禅が思えたのは、司馬師が再び顔を近付けてくるまでだった。 「待って下さい、お気を確かになさって下さい」 劉禅のおとがいに指を掛けて、反らした顔をぐいとこちらへ向かせる。 「待ってくれ、止して欲しい、近い、近い近い。 あ、離してく…!!」 ちゅっ♡ 可愛らしい音を立てて、司馬師は唇を離した。 「…ほら、もう…!! だからお止めしたのに…!!」 悪ふざけにも程がある。 劉禅が語調を強め少しだけ非難の目を向けたが司馬師は全く意に介さない。 「お前そんな声も出せるのか」 「ええっ、気にも止めていない…?」 「もっと聞かせてくれ」 その切れ長の瞳に熱が籠っている事に漸く気が付いた劉禅の顔色が青白く変わった。 小さく息を吸い、部屋の外で本来ならば自分を警戒して居るであろう見張りの兵士に聞こえるように、声を張り上げる。 「誰か来て下さい!! この人を止めて下さい!!」 司馬師は劉禅の頬を撫でながら助けを求める声を冷酷に切り捨てた。 「私に従え、お前は負けたのだろう?」 それがこの世の理だと言わんばかりに、天命を有する男は濃艶な笑みを浮かべ劉禅を腕の中に閉じ込めた。 「…思っていた敗者の末路ではない…!!」
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