TEGAKI
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昂了@ポケ擬
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「あ! トゥーウィさんだ!!」 エリンが突如声を上げた。依頼が一段落し気の抜けていたミラールは驚き、反射的にエリンを見返した。 場所は岩場の洞窟。2匹が依頼を元に向かったそこで見掛けたのは、村でお馴染みのどうぐ屋を営むカクレオンのものだと思われる後ろ姿だった。 「・・・違くない?背高いよ??」 いぶかしむ様にミラールが囁く。しかし野生のポケモンが多いダンジョンで知った顔に出会ったからか妙にテンションの上がっているエリンは立ち止まらない。 「気のせいじゃない?トゥーウィさーん!!!」 「あん?」 くるりと振り向いた彼は・・・ぱっと見は確かに似ているのだが、赤いバンダナをしていた。ミラール達が見知った彼は青いバンダナをした男性である。ミラールの違和感がむくむくと大きくなる。 「・・・・・・・・・」 エリンはというとカクレオンの顔を見て、駆け寄った姿のままその動きを止めていた。 「・・・なんだ? お前」 「トゥーウィさんじゃない!!」 信じられないとでもいうように振り返ったエリンに、ミラールは呆れたように答えた。信じられないのはきみだよと言わないだけミラールは優しい。 「だから違くないかって聞いたでしょ・・・」 置いてきぼり状態のカクレオンは表情にハテナを浮かべて考え込む。それから、ふと、何か思い当ったかのような様子で声を発した。 「ピカチュウに、ヤミラミのコンビ・・・」 自分達のことだ、と2匹が顔を見合わせる。 「お前らもしかして“エリン”と“ミラール”か?」 「僕たちのこと知って・・・」 「すごーい!!お兄さん僕たちのこと知ってるの?!僕たちも有名になったねミラール!!!」 両手を上下させ歓喜にはしゃぐエリン。ミラールが横目でカクレオンを見ると、少し申し訳なさそうにしつつ、その顔を気まずそうに歪めていた。 「えっと・・・エリン、そのカクレオンさん多分・・・トゥーウィさんの知り合いなんじゃないかな・・・」 「!?!」 ぴしりと音を立てる勢いでエリンが止まった。顔が少し赤いのは勘違いしたかも知れない自分を恥ずかしく思ったからか、否すぐに今度は顔を青くしている、失礼な自分に気付き血の気が引いたのだろう。 そんなピカチュウに目を細めて、カクレオンは苦笑いして答えた。 「あー・・・悪い、トゥーウィは俺の弟だ。俺は長男のアベレーヌっつーんだ、で、あいつは末っ子な」 エリンの様子に「申し訳ない」と頭をがしがし掻きながら謝った。困ったように笑うその顔は弟ととてもよく似ている。 「ああ! あなたがそうなんですね。お兄さんがいるというのは前に聞いていました」 ミラールが安心した様子で挨拶をする。警戒心を解いたのは相手が悪いポケモンではないと判断したからだ。 「そうか。あいつ元気か? あんま町に戻ってやれなくて申し訳ねぇとは思ってるんだ」 「元気に頑張ってますよ。僕らもいつもお世話になってます」 強くて頼りになるカクレオン達には、物の売り買いだけでなく情報や他の町の話でまでも頼りにさせてもらっているのだ。 ミラールの話を聞いたアベレーヌは嬉しそうに顔をほころばせた。 「そっか! いいこと聞いた、安心したぜ」 そう言って笑う姿からは本当に気立ての良さが感じられた。日頃からトゥーウィが自慢の兄だと言っているのもよくわかる。 「ところで・・・」 そして一呼吸を置いて、気を配れる優しいカクレオンがミラールの隣に声をかけた。 「そっちのボウズは大丈夫か?」 アベレーヌの視線の先を見ると、ミラールの横でエリンは吃驚したような悲しいような表情をさせたままフリーズしていた。こおり状態ではないが周囲の空気は若干冷たい。 「エリン・・・まだショック受けてるの?」 ミラールが肩をぽんと叩く。途端に時間が戻ったようにエリンが叫び出した。 「だって!!有名に!僕たちもやっと名前を覚えてもらえるくらいに!!有名に!!なったんだなって!!思ったのにいいいい」 勢いよく崩れ落ちるエリンに当然というようにアベレーヌが言葉を添える。 「お前らの働きぶりはトゥーウィから聞いてるぜ?」 「そうじゃないの!!」 膝を着いた姿勢そのままに『のの字』を書き出すエリン。大人なりの気を使ったつもりが逆効果になったようでどうしたものかと腕を組んでしまったアベレーヌに、ミラールが「気にしないでくれ」と首を振る。 「僕らの話って伝わり難いんですよね、アルカイルさんたちがすごく有名だから・・・」 「あぁ・・・」 弟から聞いた名前を思い出しているのかアベレーヌはぼんやりした声を出し、それから2・3頷いた。 「すっげえ強いリーダーか・・・どこで戦い方を学んできたんだ、ってくらい強ぇんだってな?」 「ええ、まぁ・・・」 やんわり笑う。足元から「ほら、アル兄のことだって知ってんじゃん・・・」と小さなぼやきが聞こえてくる。 「そりゃあまぁ相手が悪すぎるわ。もう少し大きくなってからじゃないとなぁボウズ!」 「僕そんなチビじゃないぞ!」 悔しさにすっくと立ち上がるエリン。そういう意味じゃないと思うな、などとミラールには発言できない。 見てろとばかりにアベレーヌに立ち向かっていくエリン。当り前のように、身長差が故にエリンは手が届いてもおらず、漫画のようにくるくると手が宙を掻いている。そんなエリンを適当にあしらっては大きく笑うカクレオン。 「いいんだぃ・・・絶対アル兄たちみたく強くてかっこいい救助隊になるんだぃ・・・」 心砕けてがくりと項垂れるエリン。一歩だけミラールの元へと戻ろうとするもそのままその場に立ち尽くす。 「エリン、そんなに拗ねないでよ・・・アベレーヌさんも困っちゃうよ・・・」 見かねたミラールから近付いて慰める。こういうところはエリンのパートナーらしく、優しく手を焼かされている。 「まったく、随分な拗ねボウズだな」 「憧れなんです。少しでも早く追い付きたいんだよね」 「ミラール!!余計なこと言わない!」 ばっと上げた顔を真っ赤にしているのは照れているからなのだろう。頬の電気袋が小さくばちりと音を立てた。 「あっはっは! はしゃいで拗ねて怒ってで、コロコロと面白いボウズだなぁ」 おかしそうに笑うアベレーヌを見て、照れ隠しなのかエリンはひとつ、きっと睨み付けた。それを最後にして、さすがのエリンも落ち着いたようである。 「悪い悪い。そうだな・・・弟の御贔屓さんだし、機嫌を損ねちまった詫びに特別にPPマックスを分けてやるよ。4つでどうだ」 「えっ?!」 あまりの気前の良さにエリンよりもミラールの方が驚いた。ダンジョンでの思わぬ補給にエリンも声を上げて喜ぶ。 「ほんと!?いいの!?」 「おう、但し今回だけ、な。俺も商売があるからよ。次からはよろしく頼むぜ?」 片目をすがめて笑うアベレーヌは豪傑そのものである。 差し出されたPPマックスを受け取ると、エリンはそれを大切そうにくるくると大判のハンカチに包んでリュックに仕舞った。エリンの物ではない、先程拾ったばかりのスカーフだ。 ・・・仕舞った本人は満足気だが、その行動はよろしくなかった気がしてミラールが突っ込む。 「エリン・・・それ、依頼品でしょ・・・」 「あれ?そうだったっけ?」 ミラールのジト目もどこ吹く風だ。と言うのもミラールたちは今、そのスカーフを探して持ち帰るようにと依頼をされてここに居るのだから当然の反応である。 使ってしまったものは仕方がない・・・ミラールは諦めたように腰に手を当てて妥協案を提示した。 「まぁ、帰る前にもう1こ無いか探してみようか」 はあ、と小さく溜息。さほど悪びれた風もなく「ごめーん」と手を合わせ、笑って誤魔化すエリンを見て、横でアベレーヌが声を上げて笑った。 「ほんと面白いボウズだな!」 ミラールに小突かれると、初対面の相手に対し、エリンもさすがにバツが悪そうな様子で頭を掻いた。 もしアベレーヌさんが町に戻ってきたら、面白おかしく脚色されてトゥーウィさんに伝わるかも知れない・・・などとエリンが考えるとは思えないが。 「――さて、俺はそろそろ仕事に戻るとするかな」 「帰らないんですか?」 ミラールが声を高くして訊いた。羽振りよくアイテムを分けてくれたのは彼がもう帰還するからだと思っていたのである。 「そうだな、店に出すきのみなんかを探して来てんだ。もう少し集めてから帰りたいし、帰るのはまだ先になるな」 ざっと聞かせてくれたアベレーヌの話から、計画がしっかりあることがわかり余計にミラールは驚いた。 自分がこれから使うかも知れないアイテムを気安く寄越してくれたということである。それほど彼がダンジョンでの戦闘に余裕があることが窺えて、このカクレオンの強さに感服した。 「じゃあ町に来たときは声かけてね!! トゥーウィさんと遊びにいくよ!」 手を振って笑いかけるエリンは既に恥じたり腹を立てたりしたことなどを覚えていないかのようである。 こんな奴らと一緒に居る弟をほんの少しも羨まなかったと言えば嘘になるなとアベレーヌは思った。 「おぅ。じゃあな、小さな救助隊さんよ」 「ちっさくないやい!」 わざとらしくからかうと、大きく笑いながら去っていく。赤いバンダナの後ろ姿を見届けてから、エリンたちも依頼品をもう一度探すべく森の奥へと進んでいった。 依頼が無事済んだかどうかは置いておくとして、帰った2匹が顔馴染みのカクレオンにこの日の出来事を話して聞かせたのはまた別の話だ。
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Heart
あとがき
昂からのネタ提供で了が書いた短編でした。
僕的にアベレーヌさんは絶対にイケオジ(若い)だと信じてる!
Hearts
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昂了@ポケ擬
昂了(あきらりょう)と申します。
ポケダンメインのポケモンの擬人化を描いてます。少しずつゆっくりペースで更新していきたいと思います。
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