TEGAKI
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ゆみょん
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ウォール
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x軸マイナス方向、あるいはあかるいほうへ
悪い兄がいたのだ。そう思うことにしている。 約束事、というか儀式めいた手順がある。その手順を間違えず踏まなければわたしはそれを遂行することができない。例えるのならば食事の前に手を合わせるような、そしてその手順を抜かせば体が食物を受け付けないような、そんなもの。しっくりこないというか無意識のうちに刷りこまれていて、意識に上らせるとできなくなるような。歩き方がぎこちないと言われたことがあるでしょう、それと似ている。 わたしの儀式を教えます。 風の吹かない場所、できるなら密室。 咥えるときは目をつぶる。 足は素足で、冬場のフローリングに正座するくらいの気持ちで。 甘いフレーバーのものだけ。 箱は可愛らしいほうが良い。 一日に一本だけ。 体に悪いことはわかっている。むせるから本当は好きではない。嫌いなのに手を出すのをやめられない。誘惑。 そしてこれもまた儀式めいた手順。 繰り返し吸えば、続けていれば、いつかまた会えるのではないかという願掛け。女々しくて嫌になる。縋りたくないけれど習慣になってしまった、と言い訳をしている。 口数少ないくせにやけに丁寧に教えてくれた手指の感覚を、何度でも思い出せそうな気がするから、やめられないのだ。 じゅっ、と音がして、紫煙が空間を埋めた。 白く濁る視界。 わたしの頭の中では兄の後ろ姿がチラついていた。
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Heart
あとがき
お題：近い光 制限時間：15 分 吸いたくなる娘。
Hearts
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ゆみょん
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創作断片
ゆみょん
2017/11/27 22:06
全11話
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ゆみょん
