TEGAKI
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ゆみょん
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懐柔オカルティズム・序
「胡散臭い、本当に君は胡散臭い」 煙草の煙を燻らせながら溜め息を吐いたのは小説家。狭い室内で煙たいからやめておくれと返され、わざとらしくひときわ大きな煙を吐き出し消した。朝から捨てられていない吸い殻入れの山の陰にまた一つ残骸が加わる。 「科学がすべてみたいなことを高校時代に喚いていたと思ったら次は錬金術ですか。君の興味対象の範囲の広さには目を見張るものがあるけれど、突飛な発言はどうにかならないのかい?」 煙草を吸えないもどかしさに震える両手を着物の裾に手を入れて嘆く。そこそこ広い、応接間を兼ねた書斎には二人の男。小説家がどかりと腰をおろしている西洋趣味の長椅子は結構値の張るもので、赤い天鵞絨で覆われていた。座り心地は中々良く、たまにこうしてお茶を飲みに行くと徹夜明けで椅子に横になっている姿に遭遇することがしばしばあった。今日もそのような出来事を経て、寝ている隙に少々「遊んで」からこうして話を聞いてもらっている次第である。 手土産に持ってきた小麦の焼き菓子をほおばる小説家は寝起きから少々愛想が悪い。というか機嫌が悪い。 「ああ、思い出した。そういえば君は昔カラス石を真剣に探していた。カラスでなく人間の僕は赤い糸を括りつけられて今でもあれを理不尽だと思っている。謝りたまえよ。で?今回のもそれと似たような感じなのかい?砂糖と醤油を煮詰めて鉛を金に変えるのかい?」 「だったら砂糖を火にかけて鼈甲雨でも作ったほうがまだ石らしいですよ。それよりニュートンだって錬金術を研究していたのは割と有名な話だと思ったんだけどなあ。まあそんなことはいいから、わたしの研究に協力してほしいんです」 小説家の向かいに座る男は似合わぬ眼鏡を輝かせながら言った。 「清濁併せ揉むって言うでしょう、そんな感じで」 「併せ呑むだよ、莫迦」 「オカルトだろうが占いだろうが最新科学理論だろうがお構いなしに取りこむことが必要なんです。濫読みたいなものですよ」 「それで小説家の僕に白羽の矢が立った理由は?」 「面白いから」 菓子が咀嚼される音が何やら恐ろしいものに変化した。ちょっとふざけ過ぎたらしい。 「ともかく、文字の力をお借りしたいのは確かです。ちょっと世界の定義を書き換えてもらいたいんですよ。知り合いの中では貴方が一番強固な筋ですから」 「君の思想の方が説得力があるだろう。自分でやりたまえ」 ちらりと目線を向けたその先にはかすかな興味。 あともうすこし。 「文字で魔法じみたことをする貴方に比べれば、わたしの研究なんて可愛いものですよ」 哲学者は静かに笑う。
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Heart
あとがき
お題: 2つの錬金術 制限時間: 30分 続いてはいない。
Hearts
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ゆみょん
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創作断片
ゆみょん
2017/11/27 22:06
全11話
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