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リーザ。
リーザという名前は祖母から譲り受けたものである。 彼女には10人の父親がそれぞれ違う息子たちが居て、その息子たちも大人になり子供が生まれた。 たくさんの孫の中でリーザだけが女として生まれた。 ゆえに、父親もその兄弟である叔父たちもリーザを大変溺愛した。 警察、政治家、芸術家、舞台役者、マフィアに医者に軍人と祖母はたくさんの男たちを愛し、そしてその誰とも結婚しなかった。 そして祖母が亡くなった後に生まれたリーザはそれはそれは愛され、とても厳しく躾けられ様々なことを学んで育つ。 時には警察所の薄暗い場所での拷問を目にし、麻酔を極端に減らした医者の手術に立ち会い、軍人たちの表には出せないやり取りを聴き、美術館のはらわたともいえる地下で人の皮を使って作られた本に触れた。 祖母の息子たちはリーザを愛しありとあらゆるものを彼女に見せた。 ゆえに彼女の心は鋼鉄のごときカバーがかぶさり、完璧で優美な笑顔を見せながらも心は見せない女性に育つ。 愛も毒も共に飲み込んで。 軍人の家に育ちひとしきり作法を学んだが、彼女は叔父の一人であるマフィアのつてであるマフィアのボスと出会う。 もう余命もいくばくかという老人はリーザの祖母を愛した一人であった。 余命僅かな老人の最後の楽しみだろうとそのマフィアのファミリーは考えてリーザを侮った。 リーザは老人からすべてを引き継いだ。 気づいた時にはリーザはファミリーのすべてを把握し掌握していた。 リーザはボスの右腕として君臨する。 そして次のボスを、老人の隠し子として連れてきた青年にすると告げた。 慌てたのは次のボス候補であった男達である。 彼らは次の日には家族愛人含めて消えた。 リーザは優雅に笑う。 どこに行ったのかしら、今頃バカンスを楽しんでいるのかしら?、と。
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