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織部悩む①。
現場が嫌いだった。 散り散るものが視覚に訴える。 凄惨な空間にポツリと魂。 呆けているもの、泣いているもの、怒れるもの。 されど、死人に口なし。 いくら喚けど生者には届かない。 発せられる言葉は全て死神に。 耳を傾け、頷き、言葉をかけた新人の頃が懐かしく、苦しい。 「何故私は殺されたの」「あいつが憎い」「死神なら、私を殺したあいつを殺して」「死にたくない。連れていかないで」 分からない答え どうしようもない感情 叶えられない願い 受け入れられない懇願 「そんなはずはない、貴方に私の何が分かるの」 「そんなこともできないの?神様なのに?」 ようやく見つけた言葉は魂を逆撫でした。 黙っていれば罵声を浴びせられる。 私が何も言わない、できない事を察した魂は無言の圧力を放つ。 一方的に注がれ続けた言葉は私の身体に染み込み、錆となった。 錆は身体だけでなく心をも蝕み、全身を倦怠感が襲った。 まるで、自分の身体が鉄か何かに変わったようだった。 目を閉じても現場は目蓋に焼き付いている。 耳を塞いでも声は身体に響き回る。 私は四六時中、彼らを忘れる事ができなかった。 いや、忘れる事ができなくなっていった。 気がつけば私は、現場を見るだけで吐き気を催し、挙げ句の果てに意識を失う木偶の坊に成り果てていた。 異動希望を出したが別部署への異動は叶わなかった。 ただ、現場からは外れることができた。 死神の私が言うのもなんですが、地獄でした。 私が、魂にしてやれることなど何もないのに。 はしくれであっても「神」の名をもつ自分が、何もできないことを認めたくなかった。きっと、何かしてやれるとやっきになっていたのですね。 私は無力を認めたくなかった。 それから私は過剰な自己防衛に走る。 人の目を見て話すことができなくなった。 平穏を装うふりをし、表情で心を読まれない様にマスクで口元を隠すようになった。 パソコンの画面を見つめる日々。 ただ、現場を離れ、他の方の報告書を読んでいるうちに、少しだけ客観的に自分を見直せるようになってきました。 大変な仕事をしている死神は他にもたくさんいる。 なんだか元気が沸いてきました。 今までの私でしたら、きっと自分が一番辛くて他の人には理解なんてできないと卑屈になっていたでしょうね。 少しは決別できたでしょうか。 そろそろ私も踏み出さなければならない。 大きな一歩を。 近くの箱に返却待ちの報告書がある。 丁度、向こうの部署に用事があった。 ついでに持っていこう。 比野…さんか。新採の方でしょうか? 簡単にまとめられた報告書。 同行を拒否する魂か。さぞやひどい言葉を投げつけられたのだろう。私みたいにならなければいいが。 このおせっかいの後、私はさらに悩むことになる。
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ひよのこ
2018/01/30 23:14
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